2021年度
海外で働く助産師による講義を受けて 〜国際助産学〜
第9期生(1年次)
・これまでの講義では日本の助産の歴史や日本で行われている助産体制・制度などについて学んできましたが、今回イギリスの助産体制や文化に関する講義を聞き、助産師が主体となってできることの多さに驚きました。助産師が主体となって妊婦健診を行う助産師外来を行っている病院へ実習に行った際、助産師外来を開設するまでには妊婦からだけではなく、医師からの信頼を受けるのも課題の一つだったと聞いたことがあります。講義の中でイギリスの助産師になるためには、学習過程の中に正常分娩40件以上、40件以上のハイリスク妊娠、分娩または産褥期の看護などが含まれており日本の学習過程にある正常分娩10例程度との大きな差があると講義を受けて感じ、衝撃を受けました。この差がイギリスでの妊娠期から産褥期にかけての助産師主体の妊婦への関わりにつながっていると感じましたし、妊婦や医師等からの信頼につながると感じました。またイギリスの助産教育は学生の頃から助産師としての責任感を感じるものであり、資格を取得後に現場での即戦力になるものであるとも感じました。さらにイギリスの助産について学んだことによって、日本の助産文化での良い点についても気づくことができました。例えば、母子健康手帳についてです。母子健康手帳は妊娠期から小学校入学前までの母子の記録を一冊の冊子に継続して記録し、記録の期間が過ぎた後も母子がいつでも見返すことができます。しかしイギリスでは、妊娠中と分娩後の記録はほかの冊子で管理されており、いずれも妊娠・産褥の時期を過ぎると回収され、その後は子どもに障害が見つかるなど異常がなければ記録を見返すことはできません。このように日本の産科では当たり前のように行われており、私自身のなかでも当たり前になっていたことが当たり前ではないと気づく貴重なお話をたくさんしていただき、私の中の助産師として働き方や妊婦・産婦・褥婦との関わりについての知識が広がる機会となりました。(※写真左学生)
・イギリスで働いている助産師さんから直接お話を伺える貴重な機会でした。特に、多彩な文化に配慮した助産ケアについて印象に残っています。各国には宗教や特有の伝統を大切にしている人が多くいることを知りました。世界中の文化についてすべて把握することは困難ですが、関わる際に助産師側からできることについて聞くことで、相手に配慮した行動ができるとともに、関心があることや理解したいという思いを伝えることもできると学びました。相手を思いやり、寄り添う姿勢は世界共通であり、国籍関係なく誰に対しても大切にしたいです。
海外諸国のなかでも、イギリスは助産師が幅広く活躍する助産ケアの最先端にあり、助産教育では学生の時点で求められる知識・技術が、日本と比べて圧倒的に高いことを知り、身の引き締まる思いになりました。臨床に出てからも、現在の習慣化されているケアに満足せず、世界まで視野を広げて貪欲に学び、よりよい助産を追求したいです。(※写真右学生)
地域における助産師の活動「生と性の学習会」への参加
県内の中学校で行われた星の子助産院の坂谷助産師による「生と性の学習会−大人に近づく日々–」に、助産学分野の1年生6名も参加させていただきました。思春期にある中学生たちの成長発達段階を踏まえたクラス内容とクラスを行う際の運営方法や配慮について学ぶことができました。
また、クラスの中では、中学生たちの妊婦体験ジャケットの着用や新生児モデルの人形の抱っこを学生がサポートさせていただき、実際に中学生たちとの関わりも持つことができました。
助産師がかけがえのない命の大切さや愛とは何かを問いかけることで、思春期にある対象者が、性への意識や命の尊さを考える大切な機会になるということを学ぶことができました。
そして、自分自身の「いのち」に向き合うことで、命の大切さだけでなく、他者を大切に思うことに繋がるのだということを気付く機会となりました。
NCPR(新生児心肺蘇生法「専門」コース)講習会
今年度も大学内で 助産学分野の大学院生が認定を目指し、最前線で活躍されているインストラクターの方々より講習を受けました。在学中に認定を受けることが出来るのは、本学の特色の1つです。